日本の伝統文化解説シリーズ⑪「萬葉集」

日本の伝統文化シリーズ⑪「萬葉集
 

 奈良時代末期に成立したとみられる日本最古の和歌集。全二十巻で、四五〇〇余首が収められる。作者が皇族・貴族から農民、乞食者まで、多様な階層にわたり、東歌防人歌作者未詳歌も数多く収録。まさに「全国民の歌集」と呼ぶべき、世界文学史上に輝く金字塔である。

 

 教科書や一般の書物では漢字とひらがなの混合で表記されているが、原典ではすべて漢字である。当時はまだひらがなはなく、漢字を万葉仮名(当て字)として使っていた。「二八十一」を九×九=八十一を使って「憎(にく)く」と読ませるなど、随所にユーモアが見られる。

 

 ウィットに富んだ歌のやりとりもあり、知的な楽しさが満載で、歌の配列などから国の繁栄と民の幸せを強く願った、壮大なスケールの作品であることが分かる。

 

 現在の元号「令和」は萬葉集が出典となっている。

 

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