読書について(3)
読書をする人が絶対的に偉いとは思いません。読書家を自称する人が本を読んでいない人を軽蔑するような発言は愉快ではありません。あまり読書をしないという人の中にも、魅力的な人物は十分に存在します。
しかし、よく本を読んでいる人の話は確かにおもしろい、そう感じます。話の内容が深かったり、ウィットに富んでいたり、意外な事柄どうしを結び付けて感心させられたり…。
高校生の時、非常によく本を読んでいる友人に出会いました。正確に言いますと、仲良くなったクラスメイトが大変な読書家であると、後で分かったというケースです。知性をひけらかすようなことは決してなく、でも話していると節々に頭のよさを感じるという人物でした。
その友人が夏休みに一人で東北地方を旅して、彼の地から手紙を寄こしてくれました。「ここは松尾芭蕉ゆかりの地…」と書かれていて、「こいつ、かっこいいなぁ」と感嘆しました。同年齢にして歴然たる差が(笑)。
本をよく読んで、その上で自分の頭で考えたり、行動を起こしたりして、世界を広げている人は、話していて大変楽しいと感じます。本をたくさん読むこと、それ自体ではなく、読書の積み重ねから何を考え、何をしたのかが大事なのではないでしょうか。また、自分の殻に閉じこもらず、他者と精神世界の交流を行うことにより、その魅力がどんどん増していくのではないかと思います。