小中学生向けの経済講座 第111回
11月28日(月)、小中学生向けの経済講座(第111回)を開催しました。
①物価上昇を抑えるには
Sさんから「物価上昇を抑えるにはどうしたらよいか」という質問が出たので、そのままディスカッション。物価上昇に関する知識・情報を皆で出していくことにより、その実態をていねいに考察することができました。
その上で、物価上昇を抑える有効な手立てはない、それでも抑えようとするなら統制経済になってしまう、よって所得を上げることを考えるのが現実的な対応である、という話の流れになりました。
個人の立場からいえば「自分の所得を増やす方法はないか」、政府の立場から見れば「何か政策的手段はないか」ということです。
30年近く、デフレないしデフレに近い状況が続いてきたので、国民のストレスは大きいかもしれませんが、そもそも「物価と所得の両方が上がる」状態の方が圧倒的に多いのです。物価上昇をただ恨むのではなく、そこに何かチャンスはないかという姿勢で物事を考えることが必要です。
②円安進行 → 再びインバウンド
日本政府のコロナの水際対策緩和や円安を受けて、訪日客の消費が増えているようです。
上記の記事内に出てくる体験型消費は、受講メンバーに大変好評でした。日本文化に触れる外国人が多くなってくると、アイデアしだいで大きな需要を生み出すことが可能になるかもしれません。
③円安進行 → 日本食の輸出拡大
もう一つ、ここから円安トレンドが続くなら、輸出に活路を見出すという考え方も当然ながら支持されます。
この記事は「日本食を世界に広めていこう(積極的に輸出していこう)」という内容です。和食の魅力がSNSなどで海外によく知られるようになってきた現代では、技術的に輸出が可能であれば“市場の開拓”に挑む価値は十分にあります。
④企業の内部留保は増大するも、所得は横ばいのまま
最後に一番大事なポイントを確認しました。それは、日本が国内に非常に大きな市場(約500兆円の規模)を持っていることです。大半の国民の所得が増えていけば、国内にビジネスチャンスがたくさん存在することになります。
その点を考えると、この約20年で企業の内部留保(手元に残ったお金)が倍以上に増えながら、労働所得が一向に増えていかないという事態は由々しきことです。企業の利益が出ているのですから、労働者への分配がもっとあってよい、という点を解説しました。