Nさんからの質問「電離と電気分解はどう違う?」
中学3年生メンバーのNさんから、LINEで質問が来ました。
「塩酸(HCl)の電離と電気分解の違いが分かりません。」
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以下のように回答しました。
塩化水素(HCl 気体)を水に溶かすと塩酸になり、この時、水素イオンと塩化物イオンに分かれる。これが電離。
電 離 式 : HCl → H+ + Cl-
次に、塩酸に電流を流すと、水素(陰極)と塩素(陽極)が発生する。これが電気分解。
化学反応式 : 2HCl → H2 + Cl2
「H+」は水素イオンであって、水素ではない(物質としての水素の性質はない)。同様に、「Cl-」は塩化物イオンであって、塩素ではない(物質としての塩素の性質はない)。電気分解して、初めて水素と塩素が発生する。
学校の教科書では、電気分解が先に出てきて、その後に電離が登場します。まずは、分かりやすい電気分解から入り、その後で難易度の高いイオンの話に導いていこうとするためですが、区切りのよいところで上記のような整理整頓を行っておくとよいと思います。
電離と電気分解の違いは大事なポイントで、公立高校入試でも度々出されています。正解率が低くなるのはやはり電離で、どのような時にイオンの状態になるかを正確に理解できるかどうかがポイントです。
Nさんはすんなり理解できたようなので、次はさらにレベルの高い質問が出てくることを期待しています。