経済講座おまけ:5月なのに暑い、株式市場も熱い、しかし・・・
まだ5月なのに、最高気温が30℃を超える暑さとなっています。
それと同時に熱くなっているのが日本の株式市場。日経平均株価は上昇相場が続き、足元では3万円を超える水準となりました。
3万円越えは2021年9月にもあったのですが、その時は一瞬で2万円台に戻ってしまいました。それを除くと、万の位が3になるのはバブル崩壊以来のことで、実に約30年の月日が流れています。証券会社の若手社員さん達は、ライヴで見たことのない数値に興奮しているかもしれません。
では、この株価上昇は日本経済の好調さを表しているかといえば、さにあらずです。この株価上昇の基盤には日本企業の内部留保の増大があり、テクニカルには海外投資家の大量の買い越しが大きな要因となっています。
内部留保の増大はそれ自体は悪いことではありませんが、その裏で雇用所得が大きな犠牲となっています。つまり、利益の多くを労働者に給与・賞与の形で分配せずに、内部に溜め込んでいるということです。そのバランスが非常に悪い。
労働者にも十分な分配がなされ、所得が増えることにより個人消費が増大していく、という形が国民経済の望ましい姿です。その結果、企業の売上・利益がさらに増えて、労働者の所得が一段と伸びていく…という好循環が望まれます。
が、現実はそうなっていません。さらに、海外勢が売り越しに転じれば、簡単に相場は崩れていきます。すっかりグローバリズムに取り込まれている日本経済の姿を、株式相場に見ることができます。
シンクタンクでマクロ経済の調査研究職に就く前から、長きに渡り経済の考察を続けていますが、「(日本は)ワクワクする経済でなくなった」「他の国々と似たような、個性の乏しい経済になってきたなぁ」という印象です。