小中学生向けの経済講座 第54回
7月28日(水)、小中学生向けの経済講座(第54回)を開催しました。
今回の主な内容
①メンバーが興味を持ったニュース
②特別テーマ:平成バブル
⓵メンバーが興味を持ったニュース
Sさんから「テレビ番組で『経済にとってのお金は、人間の体における血液のようなものだ』と言っていたが、それはどういう意味か」という質問が出ました。
まずお金の役割を明確にするために、「お金がある場合を、お金がない場合と比べて、経済全体でどのようなメリットがあると思うか?」と問いかけました。
そこから議論が進行し、お金の役割について、次の3点が出てきました。
・モノの価値をはかる
・交換・支払い手段になる
・価値を保存することができる
3点目はヒントを多く出して誘導しましたが、1点目と2点目はメンバー間のディスカッションから出てきました。大いに感心!
以上のお金の役割を押さえた上で、
企業や個人がお金を積極的に使って、お金が社会中をどんどん回っていけば、経済(モノやサービスの売買)が活性化することになる。
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これは、血液の流れがよく、体中の細胞に十分な酸素や養分が届けられ、体が健康になることと同じようなものである、
と話を進めました。Sさん、大変タメになる質問をありがとう!
②特別テーマ:平成バブル
I君から、平成バブルの始まりについて調べてきた内容の発表がありました。
1985年のドル高是正
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プラザ合意
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急速な円高の進行
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円高不況への対策としての低金利策
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カネ余り現象
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株式市場や不動産市場へ大量の投資資金流入
といった要旨でした。素晴らしい!そして現代はこのようなリサーチが手軽にできる便利な時代です(かつてなら図書館に出向いて本を積み上げるしかなかった)。
上記のフローチャートについて、一つひとつ内容を分かりやすく解説。
続いて、1990年からのバブルの崩壊についても、I君より同様のリサーチ報告があり、低金利政策の是正や不動産融資規制というワードが出てきましたので、それらを解説しました。
その上で「当局(日本銀行や大蔵省(現在の財務省))はどうしてバブルを終わらせようとしたのか」という質問が出ました。株式や不動産の価格が上がって、所有者の財産が増え、それはよいことなのに、どうして敢えてやめさせようとしたのか、という趣旨でした。
大変よい質問なので、「バブルはいつまでも続くと思う?」と逆質問しました。
バブルが続くということは、株式や不動産の価格が上がり続けることを意味します。その価格上昇に根拠があればよいですが、企業の収益やそれに伴う不動産価値の上昇がいつまでも続くということがあるでしょうか。
上がっているから買う(上がってから売れば利益が出る)という行動をみんなが続ければ、株価や不動産価格が企業収益の現実からどんどん離れていくことになります。そうしますと、どこかで最後に「ババを引かされる」人たちが出ることになり、それは後になればなるほど大きな損失を生み出します。
したがって、目の前の現象がバブルであると認識できたならば、その是正は必要です。ただ、平成バブルの場合は、対策が打たれるのがずいぶん時間が経ってからでしたので、バブル崩壊の影響は非常に大きく、その後の人生が狂ってしまった人々も少なくありませんでした。
歴史は「バブルは繰り返される」ことを教えてくれますので、人類はそこから大いに学ぶべきです。同時に、人間の欲望との闘い(克服)がいかに困難であるかについても思い知らされます。