小中学生向けの経済講座 第153回
今回のテーマ:リサイクルにかかる費用
現代社会では、紙やペットボトルを中心に、リサイクルが奨励されています。リサイクルはリユース、リデュースとともに環境に優しいと言われますが、実際にはそのコスト(費用)を考慮しないといけません。そこで質問、
「リサイクルにはどのような費用がかかりますか。」
<メンバーから出た意見>
・回収された紙やペットボトルなどを運ぶ運送費(ガソリン代)
・リサイクルを行う工場の建設費
・リサイクルを行う機械設備の購入費用
・紙をとかす水や薬品代
・ペットボトルをとかす熱を発生させるためのエネルギー代
・リサイクル作業を行う人に払う人件費
初めは皆、質問に戸惑っていました。「費用って何?」と聞いてくる子もいました。学校や世の中でよく話題になり、その言葉を見聞きする機会がたくさんありながら、そこまで考えたことがないということがよく分かりました。
こちらからの説明を聞いて、だんだん話の趣旨が飲み込めてくると、ようやく思考作業が始まりました。結果的には、集合知の成果が出て、いろいろな費用がかかっていることを認識することができました。
リサイクルには様々な費用がかかり、エネルギーを消費しているため、一概に「環境に優しい」とは言い切れません。さらに、リサイクル品は質の低下が起こるという問題もあります。したがって、回収されても、実際にはそれほどリサイクルは行われていません。
たとえば、回収されたプラスチックの約7割はごみ焼却炉で燃やされています。「その際に生じる熱を回収するのでリサイクルとしてカウントしてよい」という考え方を採用していますが、真の意味でのリサイクルとは違いますね。少なくともこれは海外一般ではリサイクルとみなされません。
「リサイクルは環境に優しい」と単純に捉えるのではなく、その内容を吟味することが大切です。世の中で漠然と言われていることを鵜吞みにしてはいけない、というお話でした。