物理学は本質を追い求める

「日本は母性の文明を持つ」という趣旨の本を読んでいたら、次のような一節に遭遇しました。

物理学者というのは、まず、いろんな現象の中の余計な部分をできる限り取り払うことから始める。そしてその中にある基本的なものを見つけ出そうとするわけである。」(長谷川晃『母性の文明 父性の文明』(PHP研究所)

現在、ある高校生メンバーに物理のアドバイスを行っていますが、「与えられた情報(問題文に書かれていること)を図に表して、そこに存在する力をすべて書き込む」という点を繰り返し強調しています。

実際、その高校生は計算力が高いので、理屈が分かって基礎的な関係式を立てられれば、あとはスイスイです。

それを続けていますと(重力や抗力、摩擦力、張力など)すべて漏らさず書き入れよう、という思考になりがちですが、何のことはない、その舞台設定として多くの仮定が置かれていて、すでに話が単純化されているわけです。実際の世界はもっと複雑ですから。

高校の物理は、余計な部分を取り払って、基本的なものを見つけ出すための初等練習をしているのだなぁ、と改めて感じました。

自分が学生の時は、物理や数学のそういう側面をあまり意識できず、問題を解けても、おもしろいとは思えませんでした(ゲーム感覚以上のおもしろさを認識できなかった)。今、自分の目の前にいるティーンエイジャーには、できる限り(問題の解き方だけでなく)そういうエッセンスも伝えていきたいと思う次第です。

 

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