小中学生向けの経済講座 第56回

8月18日(水)、小中学生向けの経済講座(第56回)を開催しました。

今回の主な内容
①メンバーが興味を持ったニュース
②特別テーマ:高度経済成長

 

⓵メンバーが興味を持ったニュース

I君から「新聞で最低賃金の引き上げに関する記事を読んだが、今後最低賃金が上がっていくのは望ましいことなのか」という質問が出ました。

これまた高度な質問です。まずは最低賃金とは何かについて確認し、その上で最低賃金が上がる場合のよい点と悪い点を尋ねてみました。

まとめると、よい点は労働者にとって収入が安定する、あるいは増えることで、悪い点は企業経営者にとって雇用コストの上昇という点でマイナスになるケースがあり得る、ということでした。これはミクロの話です。

一方、マクロ=経済全体(たとえば日本経済全体)で最低賃金が上がり続けることはよいか、悪いかを尋ねてみました。賃金が上がる時は物価が上昇する場合で、これが財・サービスの売買が活発になることによってもたらされているのであれば景気がよいことを意味しますので、「よい」といえます。

※実際はもっと状況が複雑で、難易度が上がるので、かなり話を単純化して議論しました。また、賃金の下限を政府が決めることがよいのか、という高度な議論もあり、これも省略しました。

 

②特別テーマ:高度経済成長

今回も3人が調べてきた内容を元に、話を進めてきました。3人の発表の主な内容は次の通りです。

1955~1973年の、経済成長率が非常に高かった時期を指す言葉で、このような事例は諸外国に例を見ない。

・この期間に、3種の神器(冷蔵庫、洗濯機、テレビ)や3C(カー、クーラー、カラーテレビ)が、日本の家庭に広まっていった。

モータリゼーション(自動車の普及、道路の整備)が進展し、社会を大きく変えていった。

・メリットは工業化の進展、国際的な力の上昇で、デメリットは工場排水による水質汚濁、煙による大気汚染

これだけ発表してくれれば、材料盛りだくさんで、ディスカッションをするのに十分です。次から次へと話題を投げかけ、それに対する返答から議論を深めていきました。

その中で1つ難しい質問をしました。高度経済成長で日本の国際的な力が増すとはどういうことか?という問いです。少しずつヒントを出しながら進めました。輸出力が高まることが他国との関係においてどのように有利に働くかを、日本が原油をほぼ100%輸入に頼っていることを例(反対の例)に挙げ、考えてもらいました。

たくさん説明しましたが、3種の神器や3Cは、YouTubeなどで当時の様子を動画で観ることをお薦めしました。言葉以上に理解が深まります。

また、本日の議論の中で「高度経済成長は、同じ好景気でもバブルとは違う」ということを、メンバーのみんながよく理解していたのが印象的でした。前々回のバブルの学習が大変生きていて、嬉しい限りです。

最後に、「おまけ」として、もし自分が10年もしないうちに所得が倍に増えるような状況で(社会人として)生活していたら、どのようなお金の使い方が考えられるか、と尋ねました。これは当時の人々の心情に近づくための思考実験です。

高度経済成長は1973年に終わりますが、そのきっかけになったのがオイル・ショックです。次回のテーマは、そのオイル・ショックとしました。1週間後が楽しみです!

 

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