国破れて「笑い」あり
中学生メンバーのK君が、漢文の「春望」について質問してきました。「春望」は大変よく知られた五言律詩の作品です(以下、横書きで失礼します)。
国破山河在
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵万金
白頭掻更短
渾欲不勝簪
国破れて山河在り
城春にして草木深し
時に感じては花にも涙を濺(そそ)ぎ
別れを恨んでは鳥にも心を驚かす
烽火(ほうか)三月(さんげつ)に連なり
家書万金に抵(あた)る
白頭掻けば更に短く
渾(す)べて簪(しん)に勝(た)へざらんと欲す
最後の2行の解釈がよく分からないという質問でした。そこで、せっかくなので1行目から内容を確認してみることに。書き下し文をチェックしながら、ヒントを出して大まかな意味を言ってもらいました(古文や漢文は声に出すのが一番)。
第六句まで進み、話の流れを掴んだところで、さぁ質問の箇所です。
第七句「白髪頭をかきむしると、髪の毛は心労のためにまずまず短くなっている」
第八句「そのため冠を留めるためのかんざしを挿すことが全くできなくなろうとしている」
この内容が分かると、K君は大笑いし始めました。“さみしくなった髪の毛”を想像して、急に笑いのツボにはまったようです。シリアスな内容から一転しての展開にギャップ受けした模様。
こちらが意図したわけではありませんが、これでK君の頭の中には「春望」が「さみしくなった髪の毛のおじさん」のイメージとともに根づいたことと思います。
古文や漢文を深く味わえるようになるのは、おそらく大人になってからです。それでいいよね、入り口としてはこれで very very good です。漢文を読んで大笑いできるなんて、K君、楽しい体験をしたねぇ!